診療のご案内

プロロセラピー

プロロセラピーについて

当院では、慢性的な筋腱障害による痛みに対して、自身の自然治癒力を活性化させて治療する「プロロセラピー」を導入しています。

プロロセラピーとは?

「プロロセラピー(Prolotherapy)」は、体が本来持っている“治す力”を引き出す注射療法です。
ブドウ糖液と局所麻酔薬などを障害されている腱や靱帯などに注射することで、わずかな炎症反応を起こし、それにより血流や組織の自己修復を促進します。手術や強い薬を使わず、自然治癒力を活かして治すことが特長です。
仕事や日常生活での過度な使用や、通常の日常生活においても、長年使い続けてきたことによる筋腱の損傷や摩耗などで腱鞘炎、筋腱障害は起こります。
これまではこのような慢性筋腱障害に対し、鎮痛剤や湿布・リハビリ・サポーターなどの一般的な保存療法がおこなわれ、それでも改善しない場合にはステロイドの局所注射が良く行われてきました。
しかしながら、ステロイドの局所注射は、それ自体が組織を障害するとも言われており、繰り返しの注射は推奨されておらず、改善が無い場合は手術をするか、もしくは痛みとうまく付き合っていくことが一番とされていました。
このプロロセラピーという治療は組織の自然治癒力を促すという新しい治療です。また、ステロイド注射と違い腱断裂の可能性がなく、より安全に繰り返し行えます。
これまでの一般的な治療で改善がない方はぜひご相談ください。

このような方におすすめです

以下のような慢性の筋腱障害にお悩みの方が対象です。

  • ステロイド注射をすると良くなるが再発を繰り返している。
    またはステロイド注射が効かなくなってきている
  • 湿布や薬ではよくならない
  • 痛みが数ヶ月続いている

といったお悩みに対して効果が期待できます。

適応疾患の例

  • 上腕骨外側上顆炎(テニス肘、ゴルフ肘など)」
  • アキレス腱炎
  • 足底筋膜炎
  • 膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)
  • 大腿四頭筋腱炎
  • 肩腱板損傷
  • その他、長引く腱や靱帯の痛み

治療の流れ

  1. まず看護師の問診で痛みの部位を確認させていただきます。
  2. 当院を始めて受診される方は、骨変形などの異常がないかレントゲン検査を行わせていただきます。※
  3. 超音波エコー検査で障害部位を確認し、その結果プロロセラピーが有効と考えられれば、患者様と相談の上、プロロセラピーを行います。
  4. エコーガイド下に障害部位にブドウ糖液などの注射をします。
    注射は数分で終わり、特別な準備や極端な安静などの必要はありません。日常生活にも大きな支障はありません。
  5. 一回の注射で改善する治療法ではないため、最初は1~2週間ごとに1回、合計3〜6回を目安に行います。
    痛みの程度が落ち着いてきた場合は、3~4週間間隔となります。

※他院でのレントゲン画像を、取り込み可能なCDでお持ちの方はご持参ください。持参されなかった際は、当院でレントゲン撮影を行わせていただきます。
携帯画像や紙などの保存不可能な媒体はお断りさせていただいております。

よくあるご質問

  • 痛みはすぐに良くなりますか?
    1回で効果を感じる方もいれば、3〜5回かけて徐々に改善する方もいます。炎症を起こして“自然治癒を促す”ことが目的なので、即効性よりも根本改善を重視した治療です。
  • 副作用はありますか?
    注射後に一時的に腫れや痛みが出ることがありますが、多くは数日でおさまります。ごくまれに内出血や感染などが起こる場合もあります。
  • 保険は使えますか?
    当院では保険適応として、トリガーポイント注射として行っております。

ハイドロリリースとの違い

ハイドロリリースは、生理食塩水などを注射して筋膜や神経の癒着を剥がし、「動きをよくする」ことを目的とした治療です。一方、プロロセラピーは高濃度のぶどう糖液を使って「組織の修復を促す」ことを目的としています。どちらも注射を使った保存的治療ですが、治療対象やアプローチが異なります。症状に応じて適切な方法をご提案いたします。

大事なこと

プロロセラピーの適応疾患のほとんどは慢性的な筋腱障害です。
これらの疾患は、日常生活での過度な使用や、不適切な生活習慣などの繰り返しにより発症することが多いです。そのため、注射で痛みが改善しても過度な使用や、不適切な生活習慣を続けていると容易に再発します。
 再発しないためには使用方法の改善やストレッチ・筋力強化などが重要です。プロロセラピーを受けるだけではなく、当院の運動器リハビリテーションを併用して、積極的な運動療法を取り入れていただくことが、より効果を高めることに必要です。